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お医者さまから処方される薬、その成分や効果、 服用上の注意点をまとめました。 薬を安全・有効に使えるよう参考にしてください。
◆エストロゲンの減少が原因
女性の更年期に正確な定義はありません。通常は、閉経前後の40〜60歳を指すことが多いようです。この期間は、卵巣の機能低下によって女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少するため、身体や心にさまざまな症状が現れることがあります。周りの人の理解を得ながら、この時期を上手に乗り切りましょう。
◆クスリは症状に合わせて
更年期障害の症状はさまざまで、顔のほてり、のぼせ、異常発汗、動悸、めまいなどが代表的です。このほか、憂うつ、不眠、頭重感、腰や手足の痛み、肩こり、疲労感などが現れることもあります。日常生活に支障をきたすような場合には、以下のような薬物療法が有効です。 1)ホルモン補充療法 更年期障害の原因がエストロゲンの減少であるため、エストロゲンの補充が有効です。今までは飲み薬が一般的でしたが、最近は貼り薬も使用できるようになり、血栓などの副作用の心配が軽減しました。貼り薬は皮膚から直接血中に吸収するため、胃腸や肝臓への負担も抑えられます。 2)抗不安薬、抗うつ薬、 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) 憂うつや頭重感などの症状が強い場合に使用します。 飲み始めに吐き気などの副作用が目立ちますが、効果 が得られるまでに2週間程度必要とするため、根気よく飲みましょう。 3)漢方薬 体質により使い分けます。効果が得られるまでに最低1ヵ月は必要とします。桂枝茯苓丸、加味逍遥散、当帰芍薬散などがよく使用されます。 4)睡眠導入薬 寝つけない、熟睡感が得られない、眠れないといった睡眠障害のタイプにより睡眠導入薬を使い分けます。 5)食生活やストレス解消 大豆製品にはエストロゲンと似た分子構造をもつイソフラボンという植物性エストロゲンが含まれています。食事にバランスよく取り入れましょう。 また、ストレスが加わると症状をより強く感じることがあります。自分なりのストレス解消法を見つけてリラックスを心がけましょう。
■文/伊藤 由紀(医学博士) 日本医療薬学会認定薬剤師・指導薬剤師。 国内・海外学会発表回数は45回以上、研究会発表多数。 著書に「From Ph. 由紀」 http://yakujien.com
>病院のクスリを読む バックナンバー
・第8回 帯状疱疹のクスリ ・第7回 痛風のクスリ ・第6回 皮膚に塗るクスリ ・第5回 血液をサラサラにするクスリ ・第4回 不眠症のクスリ ・第3回 糖尿病のクスリ ・第2回 高脂血症のクスリ ・第1回 血圧のクスリ