痛風は2000年以上前から知られている疾患で、食生活が豊かな人に多くみられたため「帝王病」と呼ばれていました。痛風発作は、血液中の尿酸濃度(血清尿酸値)が高い状態が続いた結果 、関節液中に尿酸塩がたまって関節炎が起きるものです。  
 
 
◆痛風発作が起きたら?  
 痛風発作の前兆期に、予防的に使用するのが『コルヒチン』です。発作極期になると、痛み止めとして『非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)』を処方します。これが効かなかったり服用できない場合はステロイドを使用することもあります。発作中は血清尿酸値が変動すると発作が強まるため、尿酸降下薬は避けます。  
   
 
◆高尿酸血症の治療  
 血清尿酸値の目標は6mg/dL以下。尿酸降下薬としては次の2つがあります。
1 尿酸生成抑制薬(アロプリノール)
 体内で尿酸が過剰に生成されている場合に使用。
 味覚異常の副作用があるほか、カフェインとの飲み合わせがあり、
 コーヒーや紅茶を一緒に飲むと頭痛・動悸が起こる人もいます。
2 尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロン、プロベネシド)
 尿酸の排泄が低下している場合に使用。腎結石や高度の腎障害の
 人には使えません。肝機能や血液検査で副作用の有無をチェックします。 ベンズブロマロンは光線過敏症という副作用があり、
 野外作業が多い人は要注意です。 また「尿アルカリ化剤」で
 尿をアルカリ性(pH:6.0〜7.0)にして尿路結石を予防します。
 痛風の薬は、脳梗塞や心筋梗塞の予防薬として使用する
 ワルファリンの作用を強めることがあるので注意が必要です。
 
   
 
◆生活習慣の改善が不可欠  
 治療の中心は食事療法で、カロリーやプリン体の摂取制限が基本です。肉汁・内臓肉、アルコール類の過剰な摂取を控えることがコツ。日本酒は1日1合まで、ビールは1日500mlまで、ウィスキーは1日1杯が目安。また、アルカリ性食品(海藻類・野菜)や飲水(1日2000ml以上)をしっかり心がけることが重要です。  
 
   

■文/伊藤 由紀(医学博士)
日本医療薬学会認定薬剤師・指導薬剤師。 国内・海外学会発表回数は45回以上、研究会発表多数。
著書に「From Ph. 由紀」
http://yakujien.com